後世への最大遺物

後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫)

後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫)

1946年に発行されたものなので、
文体が少々読みづらいかもしれませんが、
ページ数が少なく、すぐに読める一冊です。
自分の基礎の基礎にあるような本です。


生きていくうえで言葉ってとっても
励みになり、自分の血肉となってくれる
物だと思っています。


京セラの稲盛さんの本とか、
J.W.フルブライトの本とか、
権力の驕りに抗して―私の履歴書 (日経ビジネス人文庫)
社会の中でいろいろな経験をしてきた人が
その経験をできる限りわかりやすい言葉に凝縮して、
伝えてくれる”ことば”から、多くのことを
学ぶのですが、


この”後世への最大遺物”は、
私のような駄目人間がただ生きていくだけで
何ができるのかを考えさせる本です。


成功したという人や、秀でた才能を社会で
発揮している人の話は、それはそれですばらしく
面白いのですが、天才は人生のお手本にはならず、
凡人こそが誰もが手本にするべきことだと思う
私には、個人の特異な体験より(もちろんコアな部分での
情熱などは勇気付けられたり感動しますが)、
自分の立ち位置を考える時に、必ず手元にある一冊です。


岩波文庫の表紙にある言葉を借りると
普通の人間にとって実践可能な人生の真の生き方とは何か.我々は後世に何を遺してゆけるのか. 明治23年の講演を本に起こしたもので、語り調で、わかりやすくまとめられている本です。


1個人とは国家よりも大切なものであり、
もしカネがあるのなら社会の為に残していきなさい、、ないならば、
もし事業をおこす才能があるのならカネをつくって使って社会の役に立て、遺してゆきなさい、ないならば
もし文学の才があるのなら人に思想を教え、思想を社会に遺すことで、将来にわたって事業をなすことができるでしょう。


しかしこれらは、価値ある財産の一つではあるけれども
本当の最大遺産ではないと。


誰にでも残すことができる遺産、それは、
勇ましい高尚なる生涯である。
といっています。
とても堅苦しいですが、偉い人になれといっている
わけではないのです。


スーパーマンになることを夢見るのではなくて、
自分に与えられた環境を、自分の手を見つめ、足元を見て、
ただただ懸命に生きる生涯
人に勇気を与え、活きる力を与えることができる
誰にでもできる最大の遺産であるといっています。


(号泣)


実際に、心から受け入れて活きていくには大変なんですが、
そうありたいと心している私の戒めの書でございます。


高校生とか大学生が読むと自分を造る肥料になる本だと思います。


代表的日本人 (岩波文庫)後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫)